2021年2月24日
少し前まではCSR(企業の社会的責任)を重視した経営の大切さが言われていました。当社も自社の到達点を前提としながら改めて社内で学習を行い、2019年には「さいたま市CSRチャレンジ企業」に申請し、60のチェック項目について一定程度クリアできているとして無事認定されています。
これはさいたま市が独自に行っている認証制度で、持続可能な社会を実現するために法令遵守はもとより、環境保全、消費者保護、公正な労働基準、人権、人材育成、安全衛生など広範囲な社会課題について自主的に取り組む企業を応援しようというものです。
ところがここ2~3年、一気にSDGsという言葉が普及して来ました。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)というのは、国連が2030年までに世界が実現すべき17のゴールとして提唱しているものです。さいたま市では、CSRとSDGsの関係について、「企業がCSR活動をバランスよく実践すれば、自ずとSDGsに貢献できます。SDGsは目標であり、CSRはその方法論なのです」と説明しています。
企業経営に関わるこうした認識が進化するスピードは、情報化社会にあってますます速くなっている感があります。2030年までの10年で17のゴールを世界で達成することは並大抵のことではないと思いますが、すべてが全て不可能ではありません。この1年間だけでもコロナ禍で変わったことは実に多岐にわたると言えます。
私はこの1年間の変化の中でも、何よりも人々が生きていく環境との関り方、その価値観の変化ほど大きなものは無かったのではないかと思いますし、まさに世界的な緊急課題としてSDGsという言葉に光が当てられるようになっている気がします。
企業においてはSDGsに向き合う経営を志向しているかどうか、それがこれからの時代に問われることは間違いありません。しかしそうした環境変化へ対応する技術開発や人材育成など様々な投資には、それなりに資金や労力が必要となる訳で、私たち中小企業にとってはとても一朝一夕に出来る課題ではありません。
それでも経営環境の変化について分析を進める中でSDGsの視点を持つことは、もしかしたら今日の閉塞感ある状況を打破するヒントを見つけることに繋がるかもしれません。企業がSDGsとリンクした長期ビジョンを持ち、一つひとつの課題に地道に取り組んでいく先進性を持った経営を行うならば、私はそうした企業は必ずそれぞれの地域になくてはならない、持続可能な企業になることが出来るだろうと思います。
先進性は、古い慣習にとらわれず、多様で柔軟な思考と適用力があれば得られるものです。先進性には気持ちの若さやダイバーシティの発想が不可欠です。その反面教師が東京オリンピック組織委員会のM会長の女性蔑視の発言とそれを擁護するかのようなN幹事長やA財務大臣など周囲の全く自覚のない政治家です。
結局、コロナ禍のオリンピック開催を巡って混迷する中での会長交代となりましたが、こうした日本の政治の中枢における時代遅れの価値観、SDGsの対極にある発想が、この後も国内外にどんな影響をもたらすのか、この際ちょうど良い教材なのでしっかりと学習してみたいと思います。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
2021年2月17日
【サマリー】
・○○割
・50Gb、2Gb
・朝三暮四
・キャッシュフロー
私は格安SIMではなく、キャリア(ドコモとかソフトバンクなどのそれです)と契約してスマートフォンを利用しています。
かれこれ15年ほど一つのキャリアと契約をしています。
昨年の春に「1ヶ月のパケット利用量が2Gbを下回った(以下)の場合、当初の契約料金から1,500円を勝手に割引します」というサービスが始まりました。
もともと、自宅ではWi-Fiの利用ができますし、PCを屋外で利用するためにポケットWi-Fiも持ち歩いていましたので、スマートフォンを利用する際にも、特にLINEを利用した音声通話などの時には先ずはポケットWi-FiをONにして通話をするようにしていました。
ですので「勝手に割り引いてくれるのなんて嬉しい!」と思っていました。
比較しやすいように数字で書いてみます。
当初契約:1ヶ月50Gbの利用可能契約で6,500円。
勝手割引:1ヶ月の利用(消費)Gbが2Gb以下の場合6,500円から1,500円を割り引く。
という感じです。
最近、「はて?」と思いました。
6,500円を50Gbで割ってみると、1Gbあたりの料金が計算できます。
130円です。
しかし、50Gbまで利用できるとはいえ、実際は2Gbを利用することに5,000円を支払っていることとなります。
1Gbあたり2,500円!(-“-)
いや、何も50Gb何が何でも使う必要はありませんが、高い!
さらに、ポケットWi-Fiの代金もそこに加算されると…。
朝三暮四(中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやると言うと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと、たいそう喜んだという)とはちょっと違いますが、なんだか人に言えない話しに思えてきました(メルマガに書いてしまいましたが)。
よく「キャッシュフローが大事です」とお客様にお伝えします。
小さな話ですが、例えば「ボールペン1ダース買えば1,000円です。1本ずつ購入すると、1本150円です。どちらを購入されますか?」と。
今すぐ使うのは1本ですので、11本は在庫となってしまいます。キャッシュに換算すると、他に利用のしようがない「お金」が913円、ボールペンの形として引き出しに入ります。
そして、キャッシュは金庫から1,000円流出します。
一方、「今必要な1本」を150円で買った場合は、金庫から出ていくお金は150円です。
もともと金庫に1,000円札1枚しかなかった場合、1ダース買ってしまうと、金庫はカラになります。
一方で、150円で1本だけ買った場合には850円が金庫に残ります。
さらに、意外と引き出しを開けてみると、奥の方にまだ使えるボールペンが出てきたりします。
こんな話はザラにあります。
今一度、「その費用は、キャッシュフローで見た場合、本当に『安い』のか?」と立ち止まってみてはいかがでしょうか。
「まとめ買い」、安価であれば魅力的に目にうつります。
「お金が足りない!」と思う前に、「安さ」に惑わされていないか…。
今回もお読みいただきありがとうございました。
2021年2月10日
そもそも仕事って何でしょうか?
1.何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。
2.生計を立てるために手段として従事する事柄。職業。
等々他にもありますが一般的な意味ではこの2つでしょうか?
(出典:デジタル大辞泉)
また、職業とは生計を維持するために人が日常従事する仕事。生業。職。
とあります。
(出典:デジタル大辞泉)
なんとも味気ない表現ですね。
とすれば、仕事が出来るとは一体どういう意味でしょうか?
皆さんが思い描くイメージとしては様々な能力開発を行なうことで、判断や業務処理速度の向上や業務の幅が広がることでしょうか。
それが結果的には効率改善につながったりするかも知れません。
能力開発の方法としては、職場内教育訓練、職場外教育訓練、自己啓発の3つに分けられます。
職場内教育訓練とは先輩社員が新人社員に対し、実際に仕事をしながらその業務に必要な知識やノウハウ等を教えていく方法です。
職場外教育訓練とは様々な研修などで会場やオンラインなど集合して行われる方法です。
自己啓発とは自発的に取り組む方法で、現在の職場以外でも通用する能力開発が主なものです。
それぞれ長所・短所がありますが、皆さんも職場の先輩から程度の違いこそあれ、実践教育を受けた経験があると思います。
また、会場などに集合し研修を受けたこともあるかも知れませんし、一念発起して資格取得のために勉強された方もいらっしゃると思います。
さて、様々な方法で能力開発をしていき実践経験を積んでいくだけで良いのでしょうか?
仕事が出来るようになるのはそんな単純ではないはずです。
例えば職場に業務マニュアルがある場合、導入理由は様々あると思いますが、実践的な能力開発を行なう場合の一つの基準になっていることもあると思います。
しかし、そこに書かれているのはあくまでも手順であって、それで全てが解決するわけじゃないと思います。
また、M&Aで他の企業を買収する場合、その会社のもつノウハウを自社に取り込むことを目的に挙げられる経営者の方も一定数いらっしゃいます。
確かにそのことで自社の事業の幅が広がるかも知れませんし、自社や従業員個人で能力開発を行なうよりはスピーディーに進むと思います。
しかし、それぞれの企業理念や文化などを無視した進め方はそこで働く従業員の反発を買う可能性もあります。
個人的な見解ですが、能力開発はモチベーション(=動機付け)が重要だと思います。
そのためにも現在の仕事に対する分析を行ない、必要な能力を認識、習得することで出来る業務が拡大したり、改善すべき課題が具体的に見えてくると思います。
やるべきことが鮮明になり、改善策を決定し、具体的に行動していく。
自戒を込めて言うのですが、時間がなくてごり押しで仕事を片付けたこととかありませんか?
普段は周りの意見を全く聞かず、たまに言われても反発するだけで自分は正しいと思い込み、スタイルを絶対変えないことが正義だと思ったりしていませんか?
今の時代に求められるものとは何か?
柔軟な発想が求められる現在こそ基本に立ち返りながら想いや情報を新たにしていく、時々立ち止まり、悩みながら進めていくことが案外近道なのかも知れません。
今回もお読み頂きありがとうございました。
2021年2月3日
銀行が融資の際に「事業計画書」を求めてくるケースが見受けられます。
特に最近のコロナ禍では、会社の将来がどのようになっていくのか、
金融機関も注視していかなければなりません。
銀行は、緊急事態宣言で自粛を求められた事業者が、緊急に融資を受けたり給付金などで窮状を凌いでいても、
事態が収まった後には事業が回復するのか懸念されるところです。
また金融機関の経営も、事業者の減少や低金利で厳しいものとなっています。
不良債権を増加させることは、自行にとっても回避していきたいところでしょう。
そこで銀行は「事業計画」をもとに、会社の先行きを見据えた支援を検討していこうとします。
「事業計画」といってもいくつか種類がありますので、簡単に説明させていただきます。
【新たな事業展開や事業の拡大を計画】
将来に投資する事業へのリターンを計画として求められます。
売上の拡大にともなう設備投資や費用の増加をシビアに見積もった計画です。
既存の事業がどのようになっていくのか、計画をしていく必要があります。
【受注の減少や債務超過に陥る状況】
「事業計画」ではなく、「経営改善計画」になります。
事業の窮境原因(今回は自粛規制など)を洗いだし、債務超過の実態などを把握します。
そこから経営改善をするにはどのような手立てを打つのか。
□ 損益(P/L)の改善。特に受注と粗利益が重要です。
□ 経費の見直し。普段は放置していた経費を洗い出し、思い切って整理していく。
□ P/Lの改善から導き出される資金繰りや営業キャッシュフローの改善。
□ 資産負債(B/S)の改善。不要な資産の処分などです。
経営改善計画は、銀行が資金支援をしていく中で、返済が可能かを見ていきます。
3年以内の黒字化、5年以内の債務超過脱却など、具体的な数値目標が必要です。
ただし小企業の場合は、5年以内の黒字化、10年以内の債務超過脱却など、
無理のない計画を作成することが大切です。
特に毎月資金繰りが厳しい会社は、「資金繰り表」(日繰り)の作成が重要です。
銀行が短期の融資に応じるにも、「資金繰り表」や「受注予定表」が必要になってきます。
経営環境の変化が激しい中、「事業計画書」「経営改善計画書」は融資に対して
必須アイテムになってきました。
第一経営では、「みらいプラン」をはじめ事業計画作成のお手伝いをしています。
毎期の決算報告と合わせて、計画書の更新もお勧めいたします。
今回もお読みいただき、ありがとうございます。
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2021年1月27日
まさか新型コロナウイルス騒動が一年も続くと思いませんでした。しかも単に続いているというのではなく、一年前とは比べようがないくらい厳しい状況になっています。今は何処に行っても閉塞感だらけで少々疲れ気味の中にあって、直接的な関係はないのですが、なんとなく今回はこんなテーマで書いてみようと思いました。
もっと「風通しのいい会社でありたい」と多くの経営者が思っています。なぜなら風通しが良い社風が出来ることで、ミスやクレームの再発を減らし、更には社会的に大きな問題になるような不祥事を未然に防ぐことも出来ると言えるからです。何よりも誰に遠慮することなく思ったことが言葉に出来る会社は、社員がイキイキとしているような気がします。
良い情報も悪い情報も必要に応じて社内で共有され、そうした情報に対し幹部が責任を持って受け止める社風、何か意見があれば上司に忖度することもなく、誰に対しても自由にモノが言える組織と言っても良いでしょうか。
さて普段から日常会話が多い会社は、一見すると風通しが良いように見えます。ところが日常会話から一転、自分が担当する仕事の企画や段取りなど進め方、その方向性について、周りから想定外の疑問や意見、提案が示された時に、条件反射的に反発して一蹴したり、そこまで行かなくても露骨に嫌な顔をしてはいないでしょうか。
要するに友達同士や家族の間でも大切なことではあるのですが、特に職場の風通しに必要なことは、ただ日頃の出来事について話すだけの「会話」ではなく「対話」なのです。対話とは、一つの事象に対する異なる考え方や意見をお互いが受けとめ、そして返す作業です。
時に考えをぶつけ合いながらも、お互いを尊重し議論を交わすことです。そうした対話の繰り返しを通じて思考が深耕されるし、情報の理解が共有されるのです。結果としてそこに組織の「強み」が生まれるのではないかと思います。
更に言うなら対話を通じて新しい発想が生まれ、対話は組織にイノベーションをもたらすと言えます。トップダウンの組織に顕著に見られるように、対話がなければ人々の思考は停止し、組織は硬直化していくと言っていいでしょう。
では対話にとって最も大切なこととは何でしょう。それは多分に「質問力」ではないかという気がします。しかも評論家的な他人事ではなく、自分事として相手に興味を持った質問です。抽象的な言葉の意味を掘り下げる質問は、より具体的なイメージをつくり上げることになり、時に意外な気づきや新たな発見につながるかも知れません。
対話をもう少し広げて考えるなら、会議の在り方も同様です。資料説明に時間を費やしたり、単に決定事項の承認のためだけ会議は、はっきり言って時間の無駄です。一人ひとりが質問力に磨きをかける訓練の場となるような活発な会議をしている組織では、仮に解決困難な問題にぶつかったとしても、様々な可能性を追求する中で、優先順位を決めて一案、二案、三案と条件に応じた建設的な合意形成が出来ていくのだろうと思います。
そういえば新型コロナに立ち向かう我らが日本政府の重鎮たちは、年末に何度も「会食」を共にしながら、単なる「会話」に終始していたようです。コロナの変異種も登場し、緊急事態宣言真っただ中の今、コロナウイルスを吹き飛ばすためには、国会議員や記者からの質問や提案を「仮定の話には答えられません」などとリスク管理はどこ吹く風で、無愛想に撥ねつけるのではなく、とにかく真摯なトップの姿勢で政治の世界の風通しを良くすることが一番求められているように思います。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
