メールマガジンバックナンバー

会計事務所を使いこなして上手に経営を続ける方法

2021年6月30日(水)Vol.294

発行:株式会社 第一経営相談所 担当:柴沼 貴司

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【本日のレポートはここからです】
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未来会計の入り口 -損益分岐点分析-

「損益分岐点売上高」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?弊社からご提供する決算報告書やみらいプラン等によく目を通していただくと、グラフと一緒に載っていることがあるかと思います。これは文字通り「損益」が黒字になるか、赤字になるかの「分岐点」となる「売上高」のことで、自社に必要な利益を確保するための目標売上高を設定したり、あるいはどれだけコストを削減する必要があるかを把握したりするのに役立つ、管理会計における分析方法の一つです。

そんな損益分岐点分析を活用した、あるサービス業のお客様でのお話です。埼玉県内の複数のショッピングモールにテナントとして出店されています。ここ数年続いた赤字をどのように黒字化していくかをテーマにご訪問するなか、ある時社長からこんな一言がありました。
「どんぶり勘定だけど、黒字にするには1店舗当たり年間売上1,000万円は必要なんだよね」と。事業を継続していくにあたり、自社がどれだけの売上を必要としているのかを把握することはとても大切なことです。
確かに売上高÷店舗数で考えると大体1店舗あたり1,000万円が必要であることは言えるのですが、どんぶり勘定を明確なものにするためにも、実際の店舗別の売上高を確認してみました。
テナントとしての出店は十数店舗あり、売上が多い店舗で年間1,500万円以上、少ない店舗で500万円以下と、理由は様々ですが店舗ごとの売上に大きな差があるようでした。そこで、果たして1,000万円が全ての店舗の目標数値として適正なのか、また店舗ごとにどんな特徴があるのか、まずは数字から把握するために、改めて店舗ごとに損益分岐点分析を行ってみました。

そこで判明したのは
①損益分岐点売上高はだいたい1,200万円程であること(小規模店舗を除く)
②テナント料の対売上高比率が高い店舗があること
③売上高1,200万円前後の中規模店舗間において、売上高にほとんど差がないのにも関わらず、テナント料の対売上比率には大きな差が見られたこと

今回は②③の中規模店舗におけるテナント料の対売上比率に着目をしてみました。議論を進めていくと、テナント料の特徴について以下の2点がわかりました。
・面積に応じて決まる固定部分と、一定の売上を超えると比例的に発生する変動部分があること
・そもそも中~小規模のショッピングモールの場合、規模から期待される以上の集客をテナント側の努力で大幅に拡大させるのは難しく、店舗によっては固定部分のテナント料を賄いきれていないということ

つまり、それらの店舗を黒字にするには、単純に目標売上高に到達させること(単価アップや販促)を推し進めるのではなく、テナント料等の経費を削減することで損益分岐点売上高を下げる必要があるだろうという結論に至りました。
そして、今回算出したデータをもとにテナント料の交渉を行い、複数の店舗で条件変更(変動部分の比率を大きくする等)をしてもらうことに成功し、現在赤字傾向であった中規模店舗は改善に向かっています。
現在は交渉後の数値でもって予算を立て、年間計画である「みらいプラン」に落とし込み、黒字達成に向けてPDCAを回しています。

当初は目標売上高を算出する目的で分析を行ったのですが、今回のケースではコスト分析とその削減に役立つ結果となりました。損益分岐点分析に限った話ではありませんが、細分化や分析を行うことで課題が数値として表れ、その数値を認識することで具体的な計画や行動目標に落とし込むことができるようになります。

決算書や試算表は過去会計です。会計事務所に求めるサービスを過去会計に限定してしまっていませんか?コロナ禍で厳しいときだからこそ、そこから一歩踏み込んだ未来会計にシフトしていく必要があるように思います。
まずは最初に挙げました通り「決算報告書」によく目を通してみてください。決算における分析と課題解決のヒントが記載されています。そしてそれをもとに、会計担当者に疑問を投げかけてみてください。そこから未来会計の第一歩が始まるはずです。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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