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あれから10年~数多の試練を乗り越えて~

東日本大震災から10年の節目の年、福島中小企業家同友会が設営を担当するオンライン開催の中小企業問題全国研究集会が3/13行われました。登録者数は全国から982名、第2部では7~8名ずつ86に分かれての大グループ討論です。

★映画「Fukushima50」が描き切れなかった話
第1部は「東日本大震災復興シンポジウム」として、最初に映画「Fukushima50」の原作者であるジャーナリストの門田隆将氏の講演がありました。「福島第一原発事故は日本人に何を問いかけたのか」と題し、タイムリーにも前日に地上波TV初公開となった、その映画の場面に重ねながらの講演で、私もそうですが映画を観た人にとってはそこに描かれなかった様々な「事実」を聞くことが出来て、実に興味深い講演になったかと思われました。

全電源喪失、原子炉建屋が爆発したその時に、現場では何が起こっていたのか、門田氏の徹底的なインタビューをもとにした話は、吉田所長をはじめとした面々の文字通り命をかけた闘いの模様、緊迫した時間を再現してくれます。

ただ私個人の率直な感想を言わせていただくなら、オフレコ部分を除いても「マスコミは事実を伝えない、嘘を書く」という話はともかく、「原発に何度も突入しベントを成功させた福島県人たちが日本を救った」と言い、最後は「吉田さんとなら一緒に死ねる」とプラントエンジニアたちが言った話から、私たちの会社の経営者と社員との関係に重ねて問いかけるやや飛躍した部分とか、更には「原発に対する意見では反対派と賛成派、それぞれ一理ある。それが大人の考え方だ」といった部分には、地元の高校を卒業し福島で働き生きている人々に対する敬意や配慮を感じながらも、問題の本質、原発事故が発生した本質への言質を避けている感を受けてしまいました。数年前に鹿児島で行われた全国研究集会の後に、知覧の特攻平和会館に行った時に感じた無常観に似たものがありました。

★同友会運動の中心は「社会性の自覚」
講演に続き「あれから10年」をテーマに、鋤柄中同協名誉会長がコーディネーターとなり、岩手同友会代表理事の田村氏、宮城同友会代表理事の鍋島氏、福島同友会副理事長の渡部氏の4名によるパネル討論が行われました。震災復興の現状、教訓とすべきこと、そしてポストコロナ時代への対応という流れで、東北3県それぞれの同友会の活動や行政との係わり方などが報告されました。

「1社もつぶさない」を合言葉に、震災直後から各地同友会事務局を中心にした取り組み、その後の経営指針づくり運動、更には“地域振興条例は地域の経営指針づくり”として今なお復興のプロセスで会員企業がリーダーシップを発揮している状況を聞くと、中小企業家同友会の地道な活動が、こうした非常事態を乗り越えて復興の道筋をつける際の教訓として、いよいよ鮮明になっていることが分かります。

鍋島氏が言った「地域の課題を自社の課題としてどうとらえるか、同友会運動の中心は、自社の事業と地域の事業を考える“社会性の自覚”であり、それは“事前復興”とも言えるだろう」という一言がとても印象的でした。

★地域になくてはならない企業になる
第2部は「災害やコロナ禍の中小企業問題」として、愛知、島根、福岡の各同友会から3氏の事例報告がありました。島根の森山さんの、交通計画コンサルタントという肩書で、人口減少、高齢化が進む地方で、効率性ではなく幸福性を追求するという理念のもと、タクシーの定額サービス化、貨客混載、便利屋事業を提案してきたという話に興味を惹かれました。

特に“思い付きの事業は失敗する”ということ、要するに経営指針にキチンと位置付けられていることで経営環境分析と繋がった科学性のある事業になるということ、新規事業は人を生かす経営の上に作らなくてはいけない、というところなど、私たちが災害や危機を乗り切る際のヒントがあるように思えました。

最後はグループ討論です。討論テーマは「今後も存続し続ける会社づくりのために、わが社が取り組むべきことは何ですか?~中小企業家の志が日本の未来を拓く~」。私は全国から参加する7名の会員と第31グループで60分間の交流です。建設業、不動産業、飲食業、農業、車修理業など、それぞれがコロナ禍で付加価値を高めるためにもブランド力をいかに付けて行くか、SDGsの視点をもって地域との関わりを重視する必要などを交流し、最後はやはり「中小企業における労使関係の見解」、経営指針づくりの大切さを確認するグループ討論となりました。

★われら断じて滅びず
中山幹事長のまとめでは「復興とは何か、すべて元に戻すことではない。戻るのを待っていても戻らない。復興とはこれからの時代に通用する人間らしく生きる基盤を作ること」、「地域の人と人との関係を強くすること」、「持続可能な社会として同友会はエネルギーシフトを提起している」という言葉がありました。コロナ禍にあっても、こうした創造的で攻勢的な姿勢を持つことの大切さを学ぶとともに、何よりも「私たちは決して諦めない」という幹事長の最後の一言には、改めて背筋が伸びる思いでした。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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