メールマガジンバックナンバー

会計事務所を使いこなして上手に経営を続ける方法

2020.10.28 Vol. 261

こういう経営者になってはいけない

 新しい政権になり、メディアがこぞって苦労人で庶民派のような持ち上げ方をしてソフトなイメージを作ろうとしていたのに、早々に自ら冷や水を浴びせかけた菅政権のニュースがありました。

 日本学術会議が新たに推薦した105名の会員候補のうち6名の任命について、「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から」と何ら具体的理由を説明することなく、過去の慣例を覆して拒否したという出来事です。しかも菅首相は「総合的、俯瞰的」と言いながら、そもそも99名の名簿しか見ていないということで、更に物議をかもしています。

 明確な理由が明らかにされていないので確実なことは分からないにしても、任命が拒否された6名の共通点は、安倍政権時代に共謀罪や特定秘密保護法、そして安全保障関連法などを批判する意見を述べていた学者たちということです。しかし日本学術会議はそもそも科学者が先の戦争に協力したことの反省の上に立って「政府から独立した機関として」誕生した経緯があるようです。

 安倍政権時代の菅官房長官は、記者会見で森友・加計学園の問題や「桜を見る会」の質問に対して、表情を変えることなく「まったく問題ありません」「そうした指摘はあたりません」と答えにならない答え方をし、時に気色ばんで「あなたの質問に答える必要はありません」と言い切る、政権の代弁者としてなんともあきれ返るというか恐るべき姿をテレビで見せてきました。

 安倍政権の路線を引き継ぐと明言する菅総理ですから、今回の出来事は特に驚くようなことではありません。しかし就任早々こうした自らの力を誇示するかのような政権運営をされてしまうと、公文書が改ざんされ、国会の証言でも明らかな嘘がまかり通るという不条理も引き継がれ、いよいよ民主主義の形骸化、そして泥縄で平和が崩れていく危うさを感じないではいられません。

 これもひとつのリーダーシップかも知れませんが、経営に例えるなら、残念ながらそこに持続可能性を見ることは出来ません。もちろん政治の世界の出来事であり、当然に企業経営とは本質的に異なることですが、改めて今回の出来事を組織のリーダーの言動として見るなら、マネジメントの反面教師として大いに参考になる出来事だったのではないでしょうか。

 暴力的な不当なやり方であるとか法を無視するような主張でないならば、より良い政治(会社経営と読み替えても)であって欲しいという思いは同じはずです。そうであるなら多様な意見や提案があることは、たとえ批判的なものであったとしても、貴重な意見として検討に値するという懐の広さがリーダーには求められるものです。

 そうした意見は自分にとって意外な視点、視野の狭さを気づかせてくれるものかも知れません。結果としてより良い政治や経営に繋がるヒントになるかもしれません。そうした柔軟な姿勢こそが組織に厚みをつくり、より変化に強い持続可能な組織をつくるのだろうと思います。

 忖度ばかり、イエスマンばかりの会社づくりをしていては、すなわちトップの発想がその組織の限界ということになります。更に言えば、本当に会社のことを思い、やる気のある社員は離れて行くかも知れません。政治においても経営においても、トップの度量の広さが組織の発展には不可欠なことではないかということを、今回の出来事から考えました。

 

カテゴリー: メールマガジンバックナンバー | コメントは受け付けていません。

コメントは受け付けていません。