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今年も経営指針セミナーが刺激的にスタート

埼玉中小企業家同友会の「2019経営指針づくりセミナー」の3回目が、土曜日に一日かけて行われました。1回目と2回目は導入編ということで、同友会の経営指針づくりのオリエンテーション的な内容だったり、自社の財務をはじめとした現状認識をしようというものでした。

いよいよ今回から本編となる理念編のスタートです。同友会では単に売上や利益を上げるための経営テクニックとして事業計画を作るのではなく、企業経営の核となる経営理念づくりを経営指針作成の肝として重視しています。

経営理念検討表では「何のために経営をしているのか」という問いかけに始まり、「大切にしている信条・価値観・人生観」、「何をもって社会に貢献しようとしているのか」、「どのような会社にしたいのか」、「事業の本質的な役割は何か」、「社員に対する基本的な姿勢」、「取引先・顧客・地域社会に対する基本姿勢」、「経営者と社員はどのような姿勢で行動するべきか」といった8つの項目について、自分自身と向き合いながら、思いつくままにキーワードを掘り下げていく作業を行います。

グループ討論では、これまでは「とにかく赤字を出さないように」ということ、事業継続が最大の関心事で来たので考えたこともなかったという感想が出されます。作業を始めると、それぞれ戸惑いながらもワクワクした様子でシートに向かい、詰まるとスタッフや他の受講生と話しながらイメージを膨らましていきます。急死した父から事業承継して今まさに苦労の渦中にあるという若い女性経営者は、そんなグループ討論の中で突然に思いが溢れて涙する場面もありました。

今回もあるスタッフから、指針づくりを通して自社が変わって行った赤裸々な、そして感動的な実践報告がありました。地域に密着したクリーニング工場を経営する会社です。父が会長で兄が社長、自分自身は専務という立場で同友会に入り、そして3年ほど前にこの指針セミナーを受講します。

受講をきっかけに初めて決算書というものを目にし、その見方を学びます。なんとなくは感じていたものの、とりわけ深い関心を持っていなかった厳しい現実を目の当たりにしたショック、更に理念検討表と格闘し、理念づくりを進める中で、彼がぶつかったものは、まさに「知らなきゃ良かった経営指針」という苦しみだったと言います。

業界をめぐる経営環境が厳しさを増す中にあっても、労働環境を整備し、良い会社をつくるために、やらなければならない課題が山積していることが見えてきます。それは今まであえて見ないようにして来たことかもしれません。クリスチャン一家で温和な家族だったのに、彼の経営改善に向けた問題提起で父や兄と激しい口論をするようになってしまったことが本当に苦しかったと言います。

それでも不採算店舗からの思い切った撤退、また習慣になっている様々な仕事内容一つひとつをチェックしていきます。10数項目に及ぶ徹底した見直しによるコスト削減を進め、同時に受注内容を分析しながら売上単価の見直しを行った結果、継続的な赤字体質だった状況から、労働環境を改善しても黒字転化できる経営に変わったという報告が、財務グラフを示してありました。

会長や社長、社員を巻き込んで検討表に取り組み、経営理念をつくった時、なんとなく理想論的で実態と違いすぎることにしっくりこないものを感じていたと言います。その理念を朝礼で唱和する目標を持ちながら1年半を要した理由も、その乖離を埋めるまではとても出来ないと考えていたと言われます。しかし経営指針をつくり様々な改善を進めて来て1年半過ぎた頃に、ある社員さんから「唱和しましょう」との提案があったそうです。

まさに専務を中心に経営理念を掲げつつ、科学性・社会性・人間性のある会社に作り替えようとする必死の取り組みを、日々みんなが見てきたからだろうという気がします。今もまだ理念に照らしてしっくりこないものを感じつつも、彼は「それでいいんだ」ということに気がついたと言います。「自分たちで作った経営理念に会社が近づいていくのだから」という言葉に、私自身、新たな気づきがありました。まだ若い経営者ですが、本当に凄いなーと感動です。今年の指針セミナーもそんな刺激的な感じで始まりました。11月までとても楽しみです。

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