メールマガジンバックナンバー

会計事務所を使いこなして企業経営を上手に続ける方法

2018年11月7日(水)Vol.163

発行:株式会社 第一経営相談所 担当配信:弥永 巧児

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リーダーシップの考え方が変わる

日経新聞に「やさしい経済学」という割に、それほど優しくないコーナーが
あります。先々週から8回にわたって、早稲田大学の日向野幹也(ひがの・み
きなり)教授が「変わるリーダーシップ」というテーマで連載されていました。
今回のシリーズは、私も興味を持って読める、比較的わかりやすい内容でした。

とりあえず一通り読んだところの感想を一言でいうなら、結局のところ、中小企
業家同友会で言い続けている「人を生かす経営」と同じ問題意識が、まさに様々
な経営課題を解決に導く方向の最先端にあることを再確認できたということです。

これまでリーダーシップは権限や役職にひも付くものと考えられて、経営者や組
織の管理者などのリーダーシップが問題にされてきました。もちろんそうしたリ
ーダーシップの意味がなくなったということではありませんが、日向野教授がい
うには「1980年代以降、アメリカのグローバル企業は、環境変化に迅速に対応す
るため、組織をフラット化して命令系統を短くし、権限を下位に移譲するように
なり、ついには権限と関係なくリーダーシップを発揮すべしという考え方に至っ
た」ということです。

そして日本においてもデジタル変革が進む中、20年遅れでこうした考え方が加速
してきているといいます。ただ多くの人それぞれがリーダーシップを発揮すると
いうと「船頭多くして船、山に登る」という“ことわざ”を連想する人もいるか
と思います。しかし新しいリーダーシップの考え方とは、組織の目的や目標を共
有し、各自が全体を指揮する船頭とそれ以外のところで、重要な仕事にそれぞれ
志願して分担し合うということです。

たとえば企業や組織の中で、様々な部署のメンバーが集まってプロジェクトチー
ムを作った際に、そのチームリーダーは必ずしも上位の役職者でないこともあり
ます。そうした時にリーダーシップが機能的に発揮されるためには、「目標共有
・率先垂範・同僚支援」という三つの四文字熟語がカギになると日向野教授はま
とめています。

「目標共有」は先に述べたように、組織やプロジェクトがめざす前提をお互いが
理解することであり、「率先垂範」とは文字通りのことですが、自分一人だけ無
理して頑張るのではなく、それを普段は部署が異なる他のメンバーにも伝わるよ
うに可視化する必要があるということです。最初は「生意気な奴」と思われても、
そこで自分の姿を見せることの大切さを言っています。

その上でチームリーダーによる「同僚支援」です。それぞれのメンバーの状況を
把握し事情をくみ取り、プロジェクトに参加しやすいように配慮するということ
です。場合によっては本業を手伝ったり、助っ人を派遣したり、あるいは気遣い
だけでも意味があるかもしれません。これは従来型の「俺について来い」タイプ
と真逆のリーダーシップと言えます。

シリーズの後半は、同じ部署内でのリーダーシップについて述べています。直属
の部下が上司に反対意見を言ったり提案を持ってきたときに、どのように対応し
たらよいか。日向野教授は、その時にも先の四文字熟語の発想が効果を発揮する
と言われます。

「提案を持ってくる(率先垂範)部下の目的が、部署の成果を改善することにあ
るのを慎重に確認し(目標共有)、確認できれば、その提案を生かす方向で支援
する(同僚支援)のが良いのではないでしょうか」ということです

新しいリーダーシップにおいては、部下とのコミュニケーションをしっかりと取
ることが何より大切です。俺について来いではなく、また無条件に部下の言い分
を飲むのでもなく、更には自分の指示がどのように受け止められたか、部下から
のフィードバック情報も得ながら随時改善していくことが重要です

このシリーズで日向野教授が言っていることは、上司と部下が入れ替わって、場
合によっては部下がリーダーシップをとるケースがあって良いということです。
プロジェクトの例もそうですが、それぞれ組織の中の専門分野では、上司が全て
NO1である必要はなく、より詳しい担当者がリードして当然です

何よりも「何のために」ということ、目的や目標に向かって成果を出すためのリー
ダーシップであることを忘れないようにしなければなりません。そうした積み重ね
の中で、自分の頭で考える指示待ちでない一人ひとりの社員が育っていくのだろう
と思いますし、それこそが「人を生かす経営」ということだろうと思います。

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